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21号 罰の弊害
2020.11.01
前回は、褒美(ほめる)の弊害を述べてきましたが、今回は、罰の弊害について書いていきたいと思います。
①罰には即効性があって、一見効果的に見えるので罰を使いがちですが、罰は、相手に関心を与えていることになります。無関心でいられるよりも相手の関心を得るために不適切な行動を繰り返すかもしれません。子供の赤ちゃん返りや小学生のスカートめくり、会社では遅刻常習犯はこれに当たるかもしれませんね。
②罰する人がいなければ、不適切な行動をする。厳しい人だと適切な行動をし、優しい人だと不適切な行動をするなど態度が変わるかもしれません。上司がいなければ仕事をさぼるなどがこれに当たります。
③罰は意欲を奪い、消極的になる。罰からは適切な行動は学べません。また罰せられるくらいならやらないほうがましだと学ぶかもしれません。そうすると不適切な行動はしなくなるかもしれませんが、適切な行動もしない消極的な人になるかもしれませんね。会社に来て良かれと思って掃除をしていたら、掃除よりも仕事をしろと怒られたらどうでしょうか?
④罰する人を嫌うようになり、人間関係が悪くなる。上司や親は「正しさ」「愛情」という口実を使って、相手に、自分の好み(価値観)を押し付けていることが多いので、支配されているように感じ、人間関係が悪化していくことがあります。
⑤適切な信念が育たない。罰を与えられ続けると、「私は仲間ではない」「能力がない」と感じたりすることが多いのはでしょうか。その結果、自立もしませんし、社会や会社と調和した生活もしなくなるかもしれません。
私は、まさに④をやっていました。数年前に働いてくれていたKくんは、よく頼んだ仕事を忘れるので、このままでは彼のためにならない。まともな社会人にしてあげないと他に行っても務まらないと本気で思っていました(笑)。
それで、仕事をやったか?のチェック表を作りました。チェック表を使ってもまだ忘れるので、私が最終チェックをするということにしました。ここで問題が起こりました。私もつい最終チェックを忘れるのです(笑)。彼と同じことをしているので、彼からも「社長もちゃんとしてないじゃないですか!」と言われる始末です。
その頃の私は、仕事を忘れることとチェックを忘れることの悪影響は違うと自分に甘い言い訳をしていました。私は、彼のできてないところを責める。彼は私のできてないところを責めるという悪循環になり、どんどんと人間関係が悪くなってきました。ついに彼は、退職を選びました。
今になったらこの結末は予想できますが、当時の私は、先ほども書きましたが本気でこのままでは彼がダメになってしまうと思い込んで、自分の正しさを一生懸命に彼に押し付けていました。
よく考えてみると、彼と仲良くして会社の業績を上げることが目的であったはずなのに、その目的を忘れて、自分の好みに合わないことにばかり目がいき、罰を使って対応をしていたために、彼との関係は悪くなっていったのでした。自分の好みは置いといて、どうなりたいのか?の目的を明確にして、罰を使わずに、対応をしていきたいものですね。
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