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28号 不適切な行動への対応

2021.02.15

前回号で、原因探しがダメなのはわかった。それじゃ具体的にどういう声掛けをしたらいいの?という質問がありました。

まずは例で考えていきたいと思います。子供が兄弟が喧嘩をしていた時に、何でケンカをしたの?とお母さんが聞けば、「お兄ちゃんが殴った」「弟がおもちゃを取った」と言うかもしれません。これだと、どっちが悪いという裁判になってしまいます。そうすると悪い方になった方は、怒ってしまって、さらに悪いことをするかもしれません。原因探しをしても良い解決策が出ないように思います。こういう時に目的を聞くと、上手くいくことがあります。

この喧嘩のいきさつが、弟がお兄ちゃんのおもちゃで遊びたくて、無断で遊び始めた。それを見たお兄ちゃんがおもちゃを取り返そうと殴って喧嘩になったとしましょう。お兄ちゃんの目的は、おもちゃを取り返すです。殴るは手段です。お兄ちゃんに殴る代わりの手段はないかを考えてもらう。案が出なかったら、暴力ではなく「返して」と言うことを教える。弟は、お兄ちゃんの物で遊びたいという目的を達成するために、勝手に取っちゃったわけです。これは不適切な方法です。勝手に取る以外の適切な方法を考えてもらう。

社員さんが何回もミスをすると言って怒っている社長がいるとしましょう。この社長の目的は何でしょうか?社員さんに正しい行動をしてもらうです。その手段として怒っているわけです。これじゃうまくいかないですよね。昔の私です(涙)。

こんな事例で考えたいと思います。社員さんが、車で納品の時に、速度違反を何度も繰り返していたとしましょう。あなたはどうしますか?この社員に、速度違反をする原因を聞いてみても多分無駄ですね。何回怒っても罰しても続けると思います。

違反は悪いことだと社員さんは分かっていると思います。だけども彼にとって違反が人生の重要な問題だとは思ってないと思うのです。ここがポイントだと思うのです。
不適切な行動を繰り返すのには4つのパターンがありますが、主なパターンは本人が不適切だと理解してない場合です。

これにも2つのレベルがあると思っています。1つ目は、本当に知らない場合です。この知らないが曲者で、何度か説明をしていても本人が正しい方法を理解してないことがありますね。さっきのミスを繰り返すような事例や作業手順の間違いなんかはこれに当たるような気がします。本人が正しくやり方を理解しているかをお互いに確認することが大切ですね。意外とこのパターンが多い気がします。

2つ目は、交通違反の例のように、悪いとは思っているが、自分にとってそんな問題ではないと思っている場合です。これは、それを続けると、最悪どうなるかを想像してもらうことです。交通違反でいえば、「君は、交通違反することは、仕事とは関係がないと思っているかもしれないね。だけども一緒に働く人からの評価はどうだろう?交通違反をして、少しくらい早く納品しても周りからの評価は高まらないよね。それどころか捕まることで評価を下げているかもしれないよ。これはもったいないと思うよ」というような言い方ができるかもしれません。

ただ、西洋医学のように、すぐに効果があるとは思いません。本人が不適切だと認めて、今までの癖を直すのですから、意外と時間はかかると思います。本人を信じて、この時間を待つことが大事だと思います。